専任宅建士とは?要件・勤務実態・よくある補正ポイントを解説
不動産会社が宅建業の免許を取得・維持するためには、事務所ごとに「専任の宅地建物取引士(以下、専任宅建士)」を必ず設置しなければなりません。
これは宅建業法上の重要な義務であり、正しく理解していないと免許申請の段階で補正が入ったり、免許取得後に行政処分の対象となることもあります。
この記事では、専任宅建士の要件・勤務実態・実務でよく指摘される補正ポイントをわかりやすく整理します。
専任宅建士とは何か(宅建業法31条の3)
宅建業法では、事務所ごとに「従事する者の5人に1人以上の割合」で宅建士を置き、そのうち 常勤で業務に従事できる者を“専任宅建士”として置く必要があります。
この専任宅建士は、次のような役割を担います。
- 重要事項説明書への記名・押印(説明は宅建士本人が行う必要あり)
- 37条書面(契約書)の記名・押印
- 社内における法令遵守の指導的役割
- 事務所ごとの宅建士数の確保
不動産会社が宅建業を行ううえで、専任宅建士は法令上の“必須ポジション”です。
専任宅建士の「資格上の要件」
専任宅建士として認められるには、以下の資格要件を満たしていなければなりません。
1. 宅地建物取引士証を持っていること
単に試験に合格しただけでは不可で、
宅地建物取引士証(50条の2)を有効に保持していることが必須です。
更新中であっても、証の有効期限が切れている場合は専任宅建士として扱われません。
2. 欠格事由に該当していないこと
宅建業法18条の2による欠格事由に該当している場合は、専任宅建士になることができません。
3. 他の不動産会社等で専任になっていないこと
専任は 一つの事務所にのみ 置くことができます。
複数会社の兼務や、複数事務所で“専任”として登録することは認められません。
専任宅建士の「勤務実態に関する要件」
行政庁(都道府県や国)は、専任宅建士の“名義貸し”や“掛け持ち”を非常に厳しくチェックしています。
そのため、専任宅建士として認められるには、以下の勤務実態が必要です。
1. 常勤性があること(フルタイム勤務が原則)
- 他社の正社員
- 他社の役員
- 学生
- フルタイムの公務員
などの場合、専任性が否定されやすいです。
特に、他社に雇用されている場合は、実質的に勤務時間が重なるため、ほぼ専任として認められません。
2. 通勤可能圏内の住所であること
専任宅建士は、必要な時にすぐに事務所で業務を行える必要があります。
したがって、
- 片道2〜3時間程度の遠隔地
- 他府県で物理的に通勤が難しい地域
などの場合は、補正・否認の対象になります。
3. 勤務日数・勤務時間が実態と合っているか
- アルバイト
- 週2〜3日の勤務
- 夜間だけの勤務
などは、常勤性が疑われます。
実務で多い「補正ポイント」
専任宅建士が原因で免許申請に補正が入るケースは非常によくあります。
ここでは実務上よく見られる補正内容をまとめます。
他社で社会保険に加入している
→ 専任性が否定される典型例です。
申請前に勤務状況を整理する必要があります。
専任宅建士の住所が遠隔地
→ 通勤経路、所要時間を求められ、2時間超なら補正・否認の可能性が高いです。
他社役員(非常勤含む)との兼務
→ 実質的に業務時間が重なると判断されやすく、説明資料を求められることがあります。
取引士証が更新切れ
→ そもそも専任にできません。再交付や講習受講が必要。
給与体系が不自然
→ 名義貸しを疑われるため、業務実態の説明が必要なことがあります。
実際に事務所へ常駐していない
→ アパートの一室を「事務所」として形だけ使っているケースなどが指摘されやすいです。
専任宅建士を確保できない場合の対応
- 役員を宅建士として登録するため講習を受けさせる
- 求人広告で早期に人材を募集する
- 経験者の業務委託形態では不可(常勤性がないため)
専任宅建士は、免許の維持に直結するため計画的に確保しておくことが重要です。
まとめ
専任宅建士は、宅建業の根幹を支える極めて重要な存在であり、
資格要件・勤務実態・書類整備のすべてを満たして初めて専任として認められます。
免許申請に際しては、
- 実際の勤務時間
- 社会保険の加入状況
- 通勤可能性
- 他社との兼務の有無
など、多岐にわたる事項が審査されます。
不動産会社の開業を検討している方は、早めに専任宅建士の確保と勤務実態の整備を進めておくことをおすすめします。
実際の申請サポート内容や、当事務所で対応できる範囲については、「宅建業許可申請サポート」 で説明しています。
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