専任宅建士の雇用契約・勤務実態のポイント|審査で見られる常勤性と補正事例を解説

宅建業免許を申請する際、専任宅建士の配置は非常に重要な審査項目です。

専任宅建士は、単に宅建士資格を持っている人を登録すればよいわけではありません。申請する事務所に常勤し、宅建業務に専ら従事できる勤務実態が必要です。

そのため、雇用契約書の内容、勤務場所、勤務時間、勤務日数、社会保険、給与、勤怠記録、他社勤務や副業の有無などが確認されることがあります。

特に、雇用契約書だけ整っていても、実際の勤務実態と合っていない場合は、補正や追加説明を求められる可能性があります。

「名義だけ借りる」「週に数日だけ来てもらう」「他社で働いている人を専任宅建士にする」といった形では、常勤性・専任性に疑義が出やすくなります。

この記事では、専任宅建士の雇用契約で確認されるポイント、勤務実態、社会保険、短時間勤務・パート・兼務の注意点、補正になりやすいケースについて解説します。

この記事で分かること

  • 専任宅建士の雇用契約で確認されるポイント
  • 常勤性・専任性とは何か
  • 雇用契約書に記載しておきたい勤務場所・勤務時間
  • 社会保険・給与・勤怠記録で見られる点
  • パート・契約社員・短時間勤務が問題になるケース
  • 他社勤務・副業・役員兼務で注意すべき点
  • 専任宅建士の勤務実態で補正になりやすいケース

専任宅建士の雇用で不安がある方へ

専任宅建士は、雇用契約書の形式だけでなく、実際に申請事務所で継続して勤務しているかが重要です。勤務場所、勤務時間、雇用開始日、社会保険、他社勤務の有無を申請前に整理しておきましょう。

専任宅建士とは

専任宅建士とは、宅建業を行う事務所ごとに置く必要がある宅地建物取引士です。

宅建士証を有効に持っているだけでなく、申請する事務所に常勤し、宅建業務に専ら従事できる状態であることが求められます。

つまり、専任宅建士は「資格を持っている人」ではなく、「その事務所で実際に宅建業務を担う人」として確認されます。

確認項目 内容 注意点
資格 有効な宅地建物取引士証を持っていること 試験合格だけでは足りません。
常勤性 申請する事務所に継続して勤務していること 出勤日数・勤務時間・勤務場所が確認されます。
専任性 宅建業務に専ら従事できること 他社勤務や副業がある場合は注意が必要です。
勤務実態 実際に事務所で業務を行っていること 名義だけの配置は認められません。

専任宅建士の基本要件については、 専任宅地建物取引士とは?要件・勤務実態・審査で見られるポイントを解説 もご覧ください。

雇用契約書だけでは足りない理由

専任宅建士については、雇用契約書を作成していれば必ず認められるわけではありません。

審査では、雇用契約書の内容と実際の勤務実態が一致しているかが重要です。

たとえば、雇用契約書では常勤となっていても、実際には他社で働いている、勤務時間が極端に短い、遠方に住んでいて出勤実態が説明しにくい場合は、追加説明が必要になることがあります。

書類上の内容 実態で確認されること 問題になりやすい例
常勤と記載している 実際に継続して出勤しているか 勤務日数や勤務時間が不足している
勤務地を記載している 申請する事務所で勤務しているか 別店舗・別事業所で勤務している
雇用開始日を記載している 専任宅建士として配置する日と整合しているか 申請日・配置日・入社日が合っていない
正社員と記載している 社会保険・給与・勤怠記録と整合しているか 社会保険未加入や給与実態が不明確

形式より実態が重要

専任宅建士は、雇用契約書の形式だけで判断されるものではありません。実際にその事務所で常勤しているか、宅建業務に専ら従事しているかを説明できる状態にしておくことが重要です。

雇用契約書で確認される主な項目

専任宅建士の雇用契約書では、勤務場所、勤務時間、勤務日数、雇用開始日、業務内容、雇用区分などが確認されます。

特に、勤務場所が申請する宅建業の事務所と一致しているか、常勤といえる勤務時間になっているかが重要です。

項目 確認する内容 補正になりやすい例
勤務場所 宅建業を行う申請事務所で勤務すること 「会社の指定する場所」など曖昧な記載
勤務時間 常勤と説明できる勤務時間か 極端に短い勤務時間、週数日勤務のみ
勤務日数 継続的に勤務しているか 不定期出勤、必要なときだけ出勤する契約
雇用開始日 申請日・専任宅建士配置日との整合性 申請時点でまだ雇用が始まっていない
業務内容 宅建業務に従事することが分かるか 別事業の業務が中心に見える記載
雇用区分 正社員、契約社員、パートなど パート・短時間勤務で常勤性が不明確

雇用契約書は、勤務実態を説明するための重要な資料です。

ただし、雇用契約書だけで完結するのではなく、社会保険、給与、勤怠記録、勤務場所の実態とも整合している必要があります。

勤務場所は申請事務所と一致させる

専任宅建士の勤務場所は、宅建業免許を申請する事務所と一致している必要があります。

複数の事業所や店舗がある会社では、雇用契約書に「本社」「各営業所」「会社が指定する場所」などと記載していることがあります。

しかし、専任宅建士として配置する場合は、どの事務所に常勤するのかを明確に説明できる状態にしておく必要があります。

勤務場所の記載 審査での見え方 対応
申請事務所の所在地を明記 勤務場所が分かりやすい 申請書・事務所所在地と一致させます。
本社勤務とだけ記載 申請事務所と同じか確認が必要 本社所在地と申請事務所を照合します。
会社が指定する場所 常勤先が不明確に見える 申請事務所で勤務することを別資料で補足します。
複数店舗を兼務 専任性に疑義が出る可能性 兼務実態を整理し、専任性を説明します。

事務所要件については、 宅建業の事務所要件とは?自宅兼事務所は認められるのか実務ポイントを解説 もご覧ください。

勤務時間・勤務日数で注意すること

専任宅建士には、申請事務所に常勤している実態が求められます。

一般的には、フルタイム勤務に近い形で、継続的に出勤していることを説明できる状態が望ましいです。

短時間勤務、週数日勤務、不定期勤務の場合は、常勤性について追加説明が必要になる可能性があります。

勤務形態 考え方 注意点
フルタイム勤務 常勤性を説明しやすい 勤務場所・業務内容との整合性も確認します。
契約社員 常勤性が説明できれば可能性があります。 契約期間、勤務時間、勤務場所を明確にします。
パート・アルバイト 常勤性の説明が難しくなりやすい 勤務時間・日数・他社勤務の有無を慎重に確認します。
短時間勤務 常勤性に疑義が出る可能性があります。 申請先に事前確認が必要な場合があります。
不定期勤務 専任性・常勤性を説明しにくい 必要なときだけ出勤する形は避けます。

専任宅建士の勤務時間については、 専任宅建士の勤務時間要件とは?常勤性・兼務制限・短時間勤務が問題になるケースを解説 もご覧ください。

社会保険・給与・勤怠記録で見られる点

専任宅建士の勤務実態を確認するうえで、社会保険、給与、勤怠記録などが重要な資料になることがあります。

特に、常勤として雇用しているはずなのに社会保険に加入していない、給与支払の実態が不明確、勤怠記録がないといった場合は、追加説明を求められる可能性があります。

確認資料 確認される内容 注意点
社会保険 常勤雇用としての実態 未加入の場合は理由説明が必要になることがあります。
給与台帳 給与支払の実態 極端に低い給与や支払実態不明は注意が必要です。
勤怠記録 出勤日数・勤務時間 勤務実態を説明できるようにしておきます。
雇用契約書 勤務条件の基本情報 実態と一致していることが重要です。
辞令・配属通知 申請事務所への配属状況 複数店舗がある会社では有効な資料になることがあります。

社会保険に加入していないから直ちに不可と断定できるわけではありませんが、常勤性を説明する資料として重要視されることがあります。

申請前に、雇用契約と勤務実態を説明できる資料を整理しておきましょう。

他社勤務・副業・役員兼務の注意点

専任宅建士は、申請事務所に常勤し、宅建業務に専ら従事することが求められます。

そのため、他社勤務、副業、他法人の役員、個人事業などがある場合は、常勤性・専任性に疑義が出る可能性があります。

兼務・副業の例 問題になりやすい理由 確認すること
他社で常勤勤務している 申請事務所に常勤できない可能性がある 退職日、転籍日、勤務開始日を確認します。
他法人の役員をしている 業務関与の程度によって専任性に影響する 役員としての実働状況を整理します。
個人事業を続けている 宅建業務に専ら従事しているか疑義が出る 事業内容・稼働時間・売上状況を整理します。
別店舗を兼務している 申請事務所専属といえるか問題になる 勤務場所と勤務時間を明確にします。

兼務や副業があるから必ず不可とは限りませんが、申請事務所で常勤できるか、宅建業務に専ら従事できるかを説明できる必要があります。

不安がある場合は、申請前に勤務実態を整理しておきましょう。

代表者や役員が専任宅建士になる場合

代表者や役員が専任宅建士を兼ねるケースもあります。

この場合でも、申請事務所に常勤し、宅建業務に専ら従事できる状態であることが必要です。

特に、他の会社の役員を兼ねている場合や、別事業を行っている場合は、宅建業の専任宅建士としての実態を説明できるかが重要になります。

ケース 確認する内容 注意点
代表者が専任宅建士 申請事務所で実際に勤務しているか 名目だけの代表者・宅建士にならないようにします。
役員が専任宅建士 役員業務と宅建業務の実態 別法人での役員兼務がある場合は注意が必要です。
別事業も行っている 宅建業務に専ら従事できるか 業務比率や勤務時間を整理します。

代表者変更や役員変更がある場合は、 宅建業の代表者変更届とは?必要書類・提出期限・相続時の注意点を解説宅建業の役員変更届とは?取締役追加・退任時の手続きと必要書類を解説 も確認しておきましょう。

自宅兼事務所の場合の注意点

自宅で宅建業を開業する場合、専任宅建士の勤務実態と事務所要件があわせて確認されます。

自宅兼事務所では、生活スペースと事務所スペースの区分、来客対応、事務設備、書類保管場所、標識掲示に加えて、専任宅建士がその場所で常勤できるかも重要です。

確認項目 確認する内容 注意点
勤務場所 自宅内のどこで勤務するか 事務所スペースを明確にします。
生活スペースとの区分 居住部分と事務所部分が混在していないか 写真や間取り図で説明できるようにします。
勤務時間 自宅事務所で日常的に勤務しているか 名義だけの在籍に見えないようにします。
他業務との混在 別事業や在宅副業が中心になっていないか 宅建業務に専ら従事できるか整理します。

自宅での開業については、 自宅で宅建業を開業する方法と注意点|事務所要件・看板・審査ポイントを解説 もご覧ください。

専任宅建士の退職・交代時にも注意

専任宅建士が退職した場合や、別の人に交代する場合は、変更届が必要になります。

後任者を選任する際も、雇用契約、勤務場所、勤務時間、社会保険、宅建士証、他社勤務の有無を確認する必要があります。

退職日と後任者の就任日が大きく空くと、事務所に必要な専任宅建士が不足する状態になる可能性があります。

場面 確認すること 注意点
退職 退職日、後任者の有無、変更届 後任者不在の期間を作らないようにします。
交代 旧専任宅建士と新専任宅建士の配置日 退任日・就任日を整理します。
後任者の雇用 雇用契約、勤務実態、宅建士証 申請事務所で常勤できるか確認します。
宅建業者票 専任宅建士の氏名表示 旧専任宅建士の氏名を残さないようにします。

専任宅建士の退職については、 専任宅建士が退職したらどうする?変更届の期限・必要書類・注意点を解説 をご覧ください。

補正になりやすいケース

専任宅建士の雇用契約・勤務実態では、書類と実態のズレが補正につながりやすいです。

補正になりやすい例 原因 対策
勤務地の記載が曖昧 申請事務所で勤務することが分からない 雇用契約書や辞令で勤務場所を明確にします。
勤務時間が短い 常勤性を説明しにくい 勤務時間・勤務日数・業務内容を整理します。
社会保険未加入 常勤雇用の実態に疑義が出る 加入状況や未加入理由を説明できるようにします。
他社勤務がある 専任性・常勤性に疑義が出る 退職日・勤務時間・兼務実態を整理します。
雇用開始日と配置日が合わない 申請時点で勤務開始していないように見える 入社日・配置日・申請日を整理します。
宅建士証の有効期限切れ 資格者として配置できない状態 申請前に宅建士証の有効期限を確認します。

補正になりやすい事例については、 宅建業免許申請で補正になりやすい事例10選|審査で指摘されやすいポイントを解説 もご覧ください。

申請前に確認しておきたいチェック項目

専任宅建士を配置する前に、次の項目を確認しておくと、補正や追加説明を防ぎやすくなります。

チェック項目 確認内容 確認できたら
宅建士証 有効期限が切れていないか 写しを準備します。
雇用契約書 勤務場所・勤務時間・雇用開始日 申請事務所との整合性を確認します。
勤務場所 申請する事務所で勤務しているか 辞令や配属資料も確認します。
勤務時間・日数 常勤性を説明できるか 勤怠記録と一致させます。
社会保険 加入状況を確認 未加入の場合は理由を整理します。
他社勤務・副業 兼務や別事業がないか ある場合は勤務実態を整理します。
給与・勤怠 給与支払・出勤実態を説明できるか 必要に応じて資料を準備します。

専任宅建士の要件は、事務所要件や必要書類とも関係します。

必要書類については、 宅建業免許の必要書類一覧|法人・個人別に申請書類を解説 もご覧ください。

行政書士に相談した方がよいケース

専任宅建士の雇用契約や勤務実態は、自己判断が難しい部分です。

特に、短時間勤務、パート、契約社員、他社勤務、副業、役員兼務、自宅兼事務所などがある場合は、申請前に整理しておく必要があります。

次のような場合は、行政書士に相談することで申請準備を進めやすくなります。

  • 専任宅建士の雇用契約書の内容に不安がある
  • 専任宅建士がパート・契約社員・短時間勤務である
  • 専任宅建士に他社勤務や副業がある
  • 代表者や役員が専任宅建士を兼ねる予定がある
  • 社会保険に加入していない理由を整理したい
  • 自宅兼事務所で専任宅建士を置きたい
  • 専任宅建士の退職・交代を予定している
  • 奈良県で宅建業免許申請を相談したい

専任宅建士の配置は、宅建業免許申請の中心となる要件です。

雇用契約書、勤務実態、社会保険、勤怠、他社勤務の有無を申請前に整理しておきましょう。

専任宅建士の雇用契約・勤務実態でお困りの方へ

専任宅建士は、雇用契約書の形式だけでなく、実際の勤務場所・勤務時間・社会保険・勤怠・他社勤務の有無まで確認されることがあります。申請前に、常勤性・専任性を説明できる状態にしておくことが重要です。

専任宅建士の雇用契約・勤務実態に関するよくある質問

専任宅建士は雇用契約書があれば認められますか?

雇用契約書だけで必ず認められるわけではありません。

雇用契約書の内容と実際の勤務実態が一致していることが重要です。勤務場所、勤務時間、勤務日数、社会保険、給与、勤怠記録などを確認されることがあります。

パートや契約社員でも専任宅建士になれますか?

常勤性・専任性を説明できるかが重要です。

雇用区分だけで一律に判断されるわけではありませんが、短時間勤務や週数日勤務の場合は、常勤性に疑義が出やすくなります。勤務時間・勤務日数・他社勤務の有無を整理しましょう。

専任宅建士に他社勤務がある場合はどうなりますか?

慎重な確認が必要です。

他社で常勤している場合、申請事務所で常勤できるのか、宅建業務に専ら従事できるのかが問題になります。退職日、勤務時間、兼務実態を整理する必要があります。

社会保険に加入していないと専任宅建士になれませんか?

社会保険未加入だけで直ちに不可と断定できるわけではありません。

ただし、社会保険は常勤性を判断する重要な材料になることがあります。未加入の場合は、雇用形態や勤務実態、未加入理由を説明できるようにしておく必要があります。

代表者が専任宅建士を兼ねることはできますか?

可能な場合があります。

ただし、代表者であっても申請事務所に常勤し、宅建業務に専ら従事できる状態であることが必要です。他法人の役員兼務や別事業がある場合は、勤務実態を整理しましょう。

雇用契約書の勤務地はどう書けばよいですか?

申請する宅建業の事務所で勤務することが分かるように記載することが重要です。

「会社が指定する場所」などの曖昧な記載では、勤務場所が不明確と見られる可能性があります。申請事務所の所在地や配属先を明確にできる資料を準備しましょう。

まとめ

専任宅建士は、宅建士資格を持っているだけではなく、申請事務所に常勤し、宅建業務に専ら従事できる勤務実態が必要です。

雇用契約書では、勤務場所、勤務時間、勤務日数、雇用開始日、業務内容、雇用区分などが確認されます。

ただし、雇用契約書の形式だけでは足りません。社会保険、給与、勤怠記録、勤務場所、他社勤務の有無など、実際の勤務実態と整合していることが重要です。

パート、契約社員、短時間勤務、他社勤務、副業、役員兼務、自宅兼事務所などがある場合は、常勤性・専任性の説明が難しくなることがあります。

宅建業免許申請で補正を避けるためには、専任宅建士の雇用契約と勤務実態を申請前に整理しておくことが大切です。

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専任宅建士の雇用契約・勤務実態でお困りの方へ

専任宅建士は、雇用契約書の形式だけでなく、実際に申請事務所で常勤し、宅建業務に専ら従事しているかが確認されます。

「専任宅建士の雇用契約書の内容が不安」
「パートや契約社員でも専任宅建士にできるか知りたい」
「短時間勤務や週数日勤務で申請できるか確認したい」
「他社勤務や副業がある人を専任宅建士にしたい」
「社会保険に加入していない場合の説明が不安」
「代表者や役員が専任宅建士を兼ねる予定がある」
「奈良県で宅建業免許を申請したい」

このような場合は、申請前に雇用契約と勤務実態を整理することが重要です。奈良県で宅建業免許の申請をご検討中の方は、行政書士だいとう事務所へご相談ください。