専任宅地建物取引士とは?要件・勤務実態・審査で見られるポイントを解説

宅建業免許を取得するためには、事務所ごとに専任の宅地建物取引士を置く必要があります。

専任宅建士は、宅建士資格を持っている人を形式的に登録すればよいわけではありません。

申請する事務所に常勤し、宅建業務に専ら従事できる状態であることが必要です。

そのため、宅建士証の有効性だけでなく、勤務場所、勤務時間、雇用契約、社会保険、給与、勤怠記録、他社勤務や副業の有無など、実際の勤務実態も確認されます。

特に、他社で働いている人を専任宅建士にする場合、パート・短時間勤務の人を配置する場合、自宅兼事務所で開業する場合、代表者や役員が専任宅建士を兼ねる場合は、慎重な確認が必要です。

この記事では、専任宅建士の役割、基本要件、常勤性・専任性、勤務実態で見られるポイント、補正になりやすいケース、行政書士に相談した方がよいケースについて解説します。

この記事で分かること

  • 専任宅建士とは何か
  • 宅建業免許で専任宅建士が必要になる理由
  • 専任宅建士の基本要件
  • 常勤性・専任性で確認されるポイント
  • 他社勤務・副業・役員兼務で注意すべき点
  • 雇用契約・社会保険・勤務実態の考え方
  • 専任宅建士で補正になりやすいケース

宅建業免許の申請で専任宅建士を確認したい方へ

専任宅建士は、宅建業免許申請の中でも特に重要な要件です。宅建士証の有効期限、勤務場所、勤務時間、雇用契約、他社勤務の有無、事務所との関係を申請前に整理しておきましょう。

専任宅建士とは

専任宅建士とは、宅建業を行う事務所に常勤し、宅建業務に専ら従事する宅地建物取引士のことです。

宅建業者は、事務所ごとに一定数の専任宅建士を配置しなければなりません。

専任宅建士は、重要事項説明、契約書面の確認、取引の適正化など、宅建業の中核を担う存在です。

項目 内容 注意点
専任宅建士 事務所に常勤し、宅建業務に専ら従事する宅建士 資格だけでなく勤務実態が必要です。
宅建士資格者 宅建士証を持っている人 資格者であっても専任性・常勤性がなければ専任宅建士にはなれません。
名義だけの配置 実際に勤務していない人を置くこと 認められません。重大な問題になります。

宅建業免許では、専任宅建士の配置が免許取得の前提になります。

事務所を借りていても、必要な専任宅建士を確保できていなければ、宅建業免許の申請は進めにくくなります。

専任宅建士が必要になる理由

宅建業は、不動産取引という高額で重要な取引を扱う業務です。

そのため、取引の相手方を保護し、重要事項説明や契約手続きが適正に行われるよう、事務所ごとに専門知識を持つ宅建士の配置が求められます。

専任宅建士は、単に書類上の要件を満たすための人ではなく、実際に宅建業の運営に関与する必要があります。

役割 内容 実務上の意味
重要事項説明 取引前に重要事項を説明する 取引の安全性に関わります。
契約書面の確認 契約内容や書面の適正性を確認する トラブル防止につながります。
社内の法令遵守 宅建業法に沿った業務運営を支える 無理な営業や違反防止に関わります。
事務所の実務体制 宅建業務を行える体制を整える 免許審査でも重視されます。

専任宅建士は、宅建業免許取得後も必要です。

退職や異動によって専任宅建士が不足した場合は、変更届や後任者の確保が必要になります。

専任宅建士の基本要件

専任宅建士として認められるためには、主に次の要件を満たす必要があります。

要件 内容 注意点
宅建士証が有効であること 有効な宅地建物取引士証を持っている 試験合格だけでは足りません。
申請事務所に常勤していること その事務所で継続して勤務している 勤務時間・勤務日数・勤務場所が確認されます。
宅建業務に専ら従事できること 他の仕事が中心ではない状態 副業や他社勤務がある場合は注意が必要です。
他の事務所の専任宅建士でないこと 同時に複数事務所の専任宅建士にならない 名義の重複は問題になります。
欠格事由に問題がないこと 宅建業法上問題となる事情がない 過去の処分歴などがある場合は確認が必要です。

宅建士証の有効期限は、申請前に必ず確認しましょう。

宅建士試験に合格していても、宅建士証の交付を受けていない場合や、有効期限が切れている場合は、専任宅建士として配置できません。

欠格事由については、 宅建業の代表者・役員の欠格事由とは?免許審査で落ちるケースと注意点を解説 もご覧ください。

専任宅建士の必要人数

宅建業者は、事務所ごとに一定数の専任宅建士を置く必要があります。

専任宅建士の人数は、従事者数との関係で確認されます。従業者が増える場合や支店を追加する場合は、必要な専任宅建士の人数も確認しなければなりません。

場面 確認すること 注意点
本店のみで開業 本店に必要な専任宅建士を配置できるか まずは本店の配置を確認します。
支店を設置する 支店ごとに専任宅建士を配置できるか 本店の宅建士を支店の専任宅建士として兼ねることはできません。
従業者が増える 必要な専任宅建士数を満たしているか 採用や人員増加時に確認します。
専任宅建士が退職する 後任者を確保できるか 不足状態を放置しないようにします。

専任宅建士は、会社全体で足りていればよいわけではありません。

事務所ごとに必要な人数を満たしているかが重要です。

常勤性とは

常勤性とは、専任宅建士が申請する事務所に継続して勤務している状態をいいます。

形式上の雇用契約があるだけでは足りず、実際にその事務所で勤務しているかが確認されます。

勤務時間、勤務日数、居住地からの通勤可能性、社会保険、給与、勤怠記録などが確認材料になることがあります。

確認項目 確認される内容 注意点
勤務場所 申請事務所で勤務しているか 別店舗や別事業所で働いている場合は注意します。
勤務時間 常勤といえる勤務時間か 短時間勤務は慎重に確認します。
勤務日数 継続的に勤務しているか 週数日や不定期勤務は説明が必要になりやすいです。
通勤可能性 居住地から事務所へ通勤できるか 遠距離の場合は常勤性に疑義が出ることがあります。
社会保険・給与 常勤雇用としての実態 書類と実態の整合性が重要です。

専任宅建士の勤務時間については、 専任宅建士の勤務時間要件とは?常勤性・兼務制限・短時間勤務が問題になるケースを解説 もご覧ください。

専任性とは

専任性とは、専任宅建士が申請事務所の宅建業務に専ら従事できる状態をいいます。

他社で常勤している場合、他の事務所の専任宅建士になっている場合、別事業が中心になっている場合は、専任性に疑義が出る可能性があります。

状態 専任性の考え方 注意点
申請会社で常勤 専任性を説明しやすい 勤務場所や雇用契約と整合させます。
他社で常勤勤務 専任性に疑義が出やすい 退職日や転籍日を整理します。
他法人の役員 業務関与の程度によって確認が必要 役員としての実働状況を説明します。
個人事業を継続 宅建業務に専ら従事できるか確認される 稼働時間や事業内容を整理します。
他事務所の専任宅建士 重複配置は問題になります。 専任先を一つに整理します。

名義だけの配置は避ける

専任宅建士は、実際に申請事務所で勤務する人でなければなりません。資格者の名前だけを借りるような形は認められず、免許取得後も大きなリスクになります。

雇用契約・勤務実態で見られること

専任宅建士の審査では、雇用契約書の有無だけでなく、実際の勤務実態が確認されます。

勤務場所、勤務時間、雇用開始日、社会保険、給与、勤怠記録などが、申請内容と一致しているかが重要です。

確認資料 確認される内容 注意点
雇用契約書 勤務場所、勤務時間、雇用開始日、業務内容 申請事務所で勤務することを明確にします。
社会保険 常勤雇用としての実態 未加入の場合は理由説明が必要になることがあります。
給与台帳 給与支払の実態 極端に低い給与や支払実態不明は注意します。
勤怠記録 出勤日数・勤務時間 常勤性の説明資料になります。
辞令・配属通知 申請事務所への配属状況 複数店舗がある場合に有効です。

雇用契約や勤務実態については、 専任宅建士の雇用契約・勤務実態のポイント|審査で見られる常勤性と補正事例を解説 もご覧ください。

パート・契約社員・短時間勤務の場合

専任宅建士は、必ずしも雇用区分の名称だけで判断されるわけではありません。

ただし、パート、契約社員、短時間勤務、週数日勤務の場合は、常勤性・専任性を説明しにくくなることがあります。

特に、勤務時間が短い場合や、別の会社でも働いている場合は、専任宅建士として認められるか慎重に確認する必要があります。

勤務形態 確認される点 注意点
正社員 勤務場所・勤務時間・社会保険など 実態と書類を一致させます。
契約社員 契約期間、勤務時間、勤務場所 常勤性を説明できるか確認します。
パート・アルバイト 勤務時間、勤務日数、他社勤務の有無 短時間の場合は常勤性に疑義が出やすいです。
短時間勤務 宅建業務に専ら従事できるか 申請前に慎重な確認が必要です。

パートや短時間勤務を専任宅建士として配置したい場合は、申請前に勤務条件を整理しておきましょう。

代表者・役員が専任宅建士を兼ねる場合

代表者や役員が専任宅建士を兼ねることは、可能な場合があります。

ただし、代表者や役員であっても、申請事務所に常勤し、宅建業務に専ら従事できる状態であることが必要です。

他法人の役員を兼ねている場合、別事業を行っている場合、実際には事務所にほとんどいない場合は、常勤性・専任性の説明が難しくなることがあります。

ケース 確認すること 注意点
代表者が専任宅建士 申請事務所で実際に勤務しているか 名義だけの代表者・宅建士にならないようにします。
役員が専任宅建士 役員業務と宅建業務の実態 他法人の役員兼務がある場合は注意します。
別事業も行っている 宅建業務に専ら従事できるか 業務比率や勤務時間を整理します。

代表者変更や役員変更がある場合は、 宅建業の代表者変更届とは?必要書類・提出期限・相続時の注意点を解説宅建業の役員変更届とは?取締役追加・退任時の手続きと必要書類を解説 もご覧ください。

自宅兼事務所の場合の注意点

自宅で宅建業を開業する場合、事務所要件と専任宅建士の勤務実態をあわせて確認する必要があります。

自宅兼事務所では、生活スペースと事務所スペースが区分されているか、来客対応ができるか、事務設備があるかに加えて、専任宅建士がその場所で常勤できるかも重要です。

確認項目 内容 注意点
事務所スペース 自宅内で宅建業の事務所として使う場所 生活スペースとの区分が必要です。
勤務実態 専任宅建士が自宅事務所で勤務しているか 名義だけの在籍に見えないようにします。
来客対応 顧客と打合せできる場所があるか 応接スペースや動線を整理します。
写真・間取り図 事務所部分と居住部分の区分 写真と間取り図の整合性が重要です。

自宅での開業については、 自宅で宅建業を開業する方法と注意点|事務所要件・看板・審査ポイントを解説 もご覧ください。

専任宅建士が退職した場合

宅建業免許取得後に専任宅建士が退職した場合は、変更届が必要になります。

また、退職によって事務所に必要な専任宅建士数を満たさなくなる場合は、後任者を確保する必要があります。

後任者を選ぶ場合も、宅建士証の有効性、常勤性、専任性、雇用契約、他社勤務の有無を確認しなければなりません。

場面 必要な対応 注意点
専任宅建士が退職 変更届、後任者の確認 後任者不在の期間に注意します。
他事務所へ異動 異動元・異動先の配置人数を確認 事務所ごとの必要人数を満たす必要があります。
宅建士証が失効 更新状況や後任者を確認 有効な宅建士証が必要です。
勤務実態が変わった 常勤性・専任性を再確認 他社勤務や副業開始に注意します。

専任宅建士の退職については、 専任宅建士が退職したらどうする?変更届の期限・必要書類・注意点を解説 もご覧ください。

専任宅建士で補正になりやすいケース

専任宅建士に関する補正は、宅建業免許申請でよく発生しやすい部分です。

特に、勤務実態、社会保険、他社勤務、勤務時間、宅建士証の有効期限、事務所要件との整合性で指摘されることがあります。

補正になりやすい例 原因 対策
他社勤務が疑われる 社会保険や勤務先が別会社になっている 退職日、転籍日、勤務実態を整理します。
勤務時間が不明確 雇用契約書や勤怠記録で説明できない 勤務時間・勤務日数を明確にします。
短時間勤務で常勤性が弱い パート・週数日勤務など 申請前に要件を慎重に確認します。
宅建士証の期限切れ 有効期限の確認不足 申請前に宅建士証の有効期限を確認します。
事務所実態が弱い 自宅兼事務所や別事業との混在 事務所要件と勤務実態をあわせて整理します。
雇用開始日と申請日が合わない 申請時点で勤務していないように見える 配置日、入社日、申請日を整理します。

補正になりやすい事例については、 宅建業免許申請で補正になりやすい事例10選|審査で指摘されやすいポイントを解説 もご覧ください。

申請前に確認しておきたいチェック項目

専任宅建士を配置する前に、次の項目を確認しておくと、補正や申請遅れを防ぎやすくなります。

チェック項目 確認内容 確認できたら
宅建士証 有効期限が切れていないか 写しを準備します。
勤務場所 申請事務所で勤務するか 雇用契約書や辞令と一致させます。
勤務時間・勤務日数 常勤性を説明できるか 勤怠記録と整合させます。
他社勤務・副業 兼務や別事業がないか ある場合は勤務実態を整理します。
社会保険・給与 常勤雇用として説明できるか 必要に応じて資料を準備します。
事務所要件 専任宅建士が勤務する事務所として問題ないか 事務所写真や間取り図も確認します。
必要人数 事務所ごとに必要人数を満たしているか 従業者数や支店数も確認します。

宅建業免許の必要書類については、 宅建業免許の必要書類一覧|法人・個人別に申請書類を解説 もご覧ください。

行政書士に相談した方がよいケース

専任宅建士の要件は、宅建業免許申請の中でも判断が難しい部分です。

特に、勤務実態や兼務状況に不安がある場合は、申請前に整理しておく必要があります。

次のような場合は、行政書士に相談することで申請準備を進めやすくなります。

  • 専任宅建士として配置できるか分からない
  • 専任宅建士に他社勤務や副業がある
  • パート・契約社員・短時間勤務の人を専任宅建士にしたい
  • 代表者や役員が専任宅建士を兼ねる予定がある
  • 社会保険や雇用契約の状況に不安がある
  • 自宅兼事務所で専任宅建士を置きたい
  • 専任宅建士の退職・交代が予定されている
  • 宅建士証の有効期限や必要書類を確認したい
  • 奈良県で宅建業免許申請を相談したい

専任宅建士は、免許取得だけでなく、免許取得後の維持にも関わる重要な要件です。

申請前に、資格・勤務場所・勤務時間・雇用契約・兼務状況・事務所要件を整理しておきましょう。

専任宅建士の要件でお困りの方へ

専任宅建士は、宅建士証を持っているだけでは足りません。申請事務所での常勤性、宅建業務への専任性、雇用契約、社会保険、他社勤務の有無、事務所要件との整合性まで確認されることがあります。申請前に要件を整理しておきましょう。

専任宅建士に関するよくある質問

専任宅建士とは何ですか?

宅建業を行う事務所に常勤し、宅建業務に専ら従事する宅地建物取引士のことです。

宅建士証を持っているだけではなく、申請事務所で実際に勤務していることが重要です。

宅建士試験に合格していれば専任宅建士になれますか?

試験合格だけでは足りません。

専任宅建士として配置するには、有効な宅地建物取引士証が必要です。また、申請事務所で常勤し、宅建業務に専ら従事できる状態であることも必要です。

他社で働いている人を専任宅建士にできますか?

慎重な確認が必要です。

他社で常勤している場合、申請事務所で常勤できるのか、宅建業務に専ら従事できるのかが問題になります。退職日、転籍日、勤務時間、勤務実態を整理する必要があります。

パートや短時間勤務でも専任宅建士になれますか?

常勤性・専任性を説明できるかが重要です。

パートや短時間勤務の場合、常勤性に疑義が出やすくなります。勤務時間、勤務日数、他社勤務の有無、宅建業務への従事状況を申請前に確認しましょう。

代表者が専任宅建士を兼ねることはできますか?

可能な場合があります。

ただし、代表者であっても申請事務所に常勤し、宅建業務に専ら従事できる状態である必要があります。他法人の役員兼務や別事業がある場合は注意が必要です。

専任宅建士が退職したらどうなりますか?

変更届と後任者の確認が必要です。

専任宅建士が退職して必要人数を満たさなくなる場合は、早めに後任者を確保する必要があります。後任者についても宅建士証、常勤性、専任性を確認しましょう。

専任宅建士で補正になりやすいのはどのような場合ですか?

他社勤務、短時間勤務、社会保険の不整合、勤務場所の不明確さ、宅建士証の期限切れなどです。

雇用契約書だけでなく、実際の勤務実態を説明できる資料を整理しておくことが重要です。

まとめ

専任宅建士とは、宅建業を行う事務所に常勤し、宅建業務に専ら従事する宅地建物取引士のことです。

宅建士資格を持っているだけでは足りず、有効な宅建士証、申請事務所での常勤性、宅建業務への専任性が必要です。

また、他社勤務、副業、役員兼務、短時間勤務、パート勤務、自宅兼事務所などがある場合は、勤務実態を慎重に確認する必要があります。

専任宅建士の要件は、雇用契約書だけで判断されるものではありません。勤務場所、勤務時間、社会保険、給与、勤怠記録、事務所要件との整合性も重要です。

宅建業免許申請で補正を避けるためには、専任宅建士の資格・勤務実態・兼務状況を申請前に整理しておきましょう。

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専任宅建士の要件でお困りの方へ

宅建業免許申請では、専任宅建士の配置が重要な要件になります。宅建士証の有効性だけでなく、勤務場所、勤務時間、雇用契約、社会保険、他社勤務の有無、事務所要件との整合性まで確認されることがあります。

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「他社勤務や副業がある人を専任宅建士にしたい」
「代表者や役員が専任宅建士を兼ねる予定がある」
「自宅兼事務所で専任宅建士を置きたい」
「専任宅建士の雇用契約や勤務実態に不安がある」
「奈良県で宅建業免許を申請したい」

このような場合は、申請前に専任宅建士の要件を整理することが重要です。奈良県で宅建業免許の申請をご検討中の方は、行政書士だいとう事務所へご相談ください。